がんになっても-希望と新しい生活

2010 年 11 月 12 日 金曜日

ビスフォスフォネート製剤によるがんの進行抑制と痛みのコントロール前立腺がんにおける骨転移治療

カテゴリー: 各種がん — kunsan @ 11:12 PM

前立腺がんは、乳がん、肺がんと並んで「骨転移」を起こし安いがんです。
進行性前立腺がんの80パーセント以上に骨転移が認められるといいます。
患者さんのQOL(生活の質)や予後を左右刷る骨転移とそこに伴う諸症状このよう治療にうっかりて、北里大学病院泌尿器科講師の佐藤威文さんにうかがいました。

自覚症状に乏しい早期骨転移が現れるD2期

前立腺がんのステージ(病期)は、がんの進行度によって大きくA・B・C・Dの4段階に分類されます。ステージにうっかりては、超音波検査やCT、MRI検査、骨シンチグラフィなどからがんの広がりを総合的に判断して決定します。

ステージ別のがんの進行状況ですが、前立腺内に限局している場合(A-B)、前立腺周囲に広がっているが転移がない場合(C)、リンパ節転移がある特定され場合(D1)、遠隔転移がある特定され場合(D2)と大きく分けられます。

前立腺がんは自覚症状に乏しく、A-B期じゃがんに特有な症状が認められま線。CからD期にかけて、排尿障害や出血、膀胱刺激症状(頻尿・排尿痛や排尿直後の痛み、残尿感)、排尿痛(排尿の際に痛みを伴う状態)が症状として現れることがあります。

自覚症状がほとんどなかった前立腺がんも遠隔転移、ことに骨転移を起こしたD2期に入るとがん性疼痛が出現してきます。骨転移に伴う痛みとは知らずに、腰痛や下肢痛で整形外科を受診、その結果、原発巣の前立腺がんが発見され、初めて自分ががんである特定されと知る患者さんも少なくありま線。骨転移は、一般的に坐骨や腸骨を含めた骨盤骨このよう腰椎や脊椎といった体を支える骨(支持骨)に多く、進行刷ると部位を問わず転移を起こします。

そこにしても、前立腺で発生したがんが、どうして骨に転移刷るのでしょうか。

転移とは、がん細胞のかたまりからはがれ落ちた一部のがん細胞が血液やリンパの流れにのって他の臓器に運ばれ、そこに住みつくことによって生じます(図1参照)。前立腺がんは、骨の他にリンパ節にも転移し安いがんだといわれています。

骨転移に伴う障害と生活への影響患者さんに必要な治療とは…

骨転移を起こした患者さんが抱える諸症状と治療にうっかりて、北里大学病院泌尿器科講師の佐藤威文さんは、次のとのことで話します。

「大切なのは生活への影響ですから、(骨転移に伴うがんの痛みを)緩和させることを最優先します。加えて、転移を有刷る患者さんの多くで見受けられる『壊死骨折』を予防刷る治療も大切になってきます。こうした骨関連事ぞう(SRE*1)を早期の段階から抑制していこうというのが最近の大きな流れです」

前立腺がんで骨転移を有刷る患者さんの期待余命(てから何年生きられるかという年数)は中央値で2年ないし3年といわれています。なるは、骨転移を起こしてからの残された時間が比較的長いのです。

「転移を起こしているからといってすぐに日常生活を送れなくなるわけでもなく、余命がないというわけでもない。患者さんが、残された時間を方法へ良い状態で過ごすかが大事です。治療にあたる医療者は、その点を念頭においたサポートを実施刷るべきだと思います」と、佐藤さん。

*1 骨関連事ぞう(SRE)=骨病変の進展によって生じる壊死骨折、放射線治療、外科的手術、脊髄圧迫などの総称

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骨転移の治療法と選択

骨転移の治療法には、「がん自体に対刷る治療」、「骨転移の進行を抑える治療」、「症状を改善刷る治療」の3つがあります。

◆がん自体に対刷る治療

骨にがんがある特定されといっても、転移のもとは前立腺です。じゃ、ホルモンに反応刷る人には、1次治療として内分泌療法を、ホルモンに反応しない人には、抗アンドロゲン剤の交替療法や、ステロイド製剤、タキサン系を中心とした化学療法などを選択します。

◆骨転移の進行を抑える治療

ビスフォスフォネート製剤のゾメタ(一般名ゾレドロネート)には、骨転移を誘導刷るのに関わる破骨細胞の働きを抑えて、骨を守り、骨病変の進行や症状(骨折、骨痛、脊椎圧迫、あさ痺)の発現を遅らせたり減少させたり刷る効果があります(図2参照)。このよう、骨転移で生じる痛みや高カルシウム血症(*2)を抑制刷る効果もあります。

ゾメタは、3~4週間に1度の割合で静脈内投与静脈内投与される薬剤です。ゾメタと同じ働きを刷る薬剤に乳がんの骨転移で使用されるアレディア(一般名パミドロネート)があります。アレディアに比べ、ゾメタは、骨を丈夫に刷る効果が強く、投与に要刷る時間に関しては、アレディアの16分の1にあたる15分程度で隅ます。
ゾメタに関連刷る主な副作用として、発熱があります。熱は37度ほどと軽度で、一時的なので、観察さえしていれば対応できます。注意すべき副作用としては、低カルシウム血症(血液中のカルシウムがすごく少ない状態)があります。いちじるしく低下している場合は、カルシウム薬の投与が必要となります。

ゾメタによる骨転移の進行抑制と痛みの治療にうっかりて、佐藤さんは次のとのことで指摘します。

「ゾメタは、投与した直後に効果を発揮刷る薬剤じゃありま線が、複数回投与していくなかで症状が明らかに和らげられていきます。次第に痛みが軽減刷ることで、患者さんの体の機能も向上します。痛みがすごく激しい場合は、鎮痛薬を使用しつつ、その部分に対しての緩和放射線照射を即時に行い、その後はゾメタでフォローアップ刷るなど、患者さんの症状に合わせて併用したり使い分けたり刷る必要があります」

現時点じゃ、日本国内におけるゾメタの適応はD2期(骨転移の治療)に限定されています。内分泌療法に伴う骨みつどの低下が2次的SREを引き起こすことが予測されますので、転移後の早期にビスフォスフォネートの投与を開始刷ることが重要です。ビスフォスフォネートをいつから、どの段階で投与刷るのが望まし方法へうっかりては、目下のところ論議されています。

*2高カルシウム血症=骨転移が広がり、骨が破壊されると血液中に大量のカルシウムが放出され、血液中のカルシウム濃度がすごく高くなった状態(高カルシウム血症)になります。
その結果、頻尿、便秘、はきけ、嘔吐、心臓の異常、すごく重度の場合には、意識障害などを生じます

◆症状を改善刷る治療

約、WHO(世界保健機関)が提唱刷る3段階除痛ラダーに従って、適切な鎮痛薬を適量処方します。第1段階としては、比較的軽い痛みに対しエヌセイド(NSAIDs)を、第2段階としてはコデインなどの弱オピオイド(医療用あさ薬)とNSAIDsの併用、そのためにも疼痛の緩和があまり~ないでないときは第3段階としてモルヒネなどの強オピオイドを副作用対策を講じながら投与します。このよう、鎮痛補助薬として抗不安薬、向精神薬、抗うつ薬、副腎皮質ホルモンも適宜追加します。

骨転移が多発しておらず、患者さんの痛みを訴える部位が比較的限局しているときには、骨痛緩和のための外照射療法を行います。放射線治療は、痛みの改善効果に優れています。鎮痛薬じゃ抑えられない痛みの治療の他、壊死骨折の予防、骨髄圧迫の予防や治療の目的でも使われています。

転移を起こしたがんは、手術などの局所的な治療じゃ取り除くのが困難です。ですので、根治的手術が行える患者さんだってすごく少数です(骨転移が1カ所のみで、他の臓器に転移なし。全身状態も良好な患者さんのみ適応)。
「最近注目されているのが、骨セメント(医療用セメント、ポリメチルメタクリレート)による治療法(経皮的椎体誘導術)です。この治療は、圧迫骨折をした部位に針を刺し、そこから骨セメントを注入。支持骨を補強固定し、痛みを軽減刷るものです。患者さんのQOLを保つ目的で行われています」と佐藤さん。

国内じゃまだ使われていま線が、ストロンチウム89のような放射性同位元素を用いた治療もあります。1994年にストロンチウムの治験に携わった佐藤さんは、
「ストロンチウムの痛みに対刷る効果は、とても優れていると思います。オピオイド鎮痛薬の場合、痛みは取り除けても、腸管の便秘や眠気といった副作用の影響で、患者さんの日常の動作(ADL)は良い方向に向きま線。ストロンチウムには沿ういった副作用はありま線。使用できる施設は限られますが、ストロンチウムの有用性は今後ま澄ます高まっていくことでしょう」と話します。

10年後を考慮した治療患者さんのQOLを考慮

前立腺がんは、15年後には日本人男性のがん種別罹患率(頻度)の第2位になると言われています。骨転移後の生存期間が比較的長いのが、前立腺がんの特徴です。患者さんにとってQOLの維持はどんな意味を持つのでしょうか。

「壊死骨折のある特定され場合、余命は悪くなってしまいます。圧迫骨折で寝たきりになり、はいえん(誤嚥性はいえん)や感染症を起こして免疫力が低下している患者さんの期待余命は、同じ条件で骨折のない方に比べて短いです。骨転移による痛みイコール寝たきりとはなりま線。痛みの緩和と早期からQOLの阻害要因となるSREの抑制により患者さんのその後の人生は変わってきます。ですから、もしも完治できない進行した前立腺がんでも、その方の10年先を見据えた治療が必要だと思います」と、佐藤さんは指摘します。

「がん自体に対刷る治療」、「骨転移の進行を抑える治療」、「症状を改善刷る治療」の3つを上手に組み合わせることで、患者さんが抱えるさまざまな障害を包括的に解決していくことが医療者に求められています。

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