ゆっくり時間をかけた治療で延命を図る論理的に組み立てられた隔日FP・タキソール療法
再発・進行がん患者の治療で良好な成績を上げている札幌月寒病院。
病院長の山光進さんは、長年抗がん剤治療に携わり“効果は大きく副作用の少ない”治療法を模索してきた。とだけでなくたどり着いたのが隔日FP療法と呼ばれる治療法だ。
この療法は、2つの抗がん剤の相乗効果をねらったものだ。
このよう山光さんらは02年より、より高い効果を求めて隔日FP・ウイークリータキソール療法を開始した。
札幌ドーム球場近くにある特定され札幌月寒病院院長の山光進さんは、30数年前から大腸がん、胃がん、食道がん、膵臓がんなどの進行・再発がんに対し、抗がん剤治療を積極的に行っている。
とくに、90年頃からは、北里大学客員教授の白坂哲彦さんと二人三脚で、「抗がん剤の毒作用・副作用を少なくして、制がん効果を増強させる新しい化学療法」に取り組んできた。白坂さんが理論を固め、山光さんが臨床の現場で抗がん剤の適切な使用量などを決めて、効果的な化学療法の共同研究・開発をしてきた。
白坂さんと山光さんの共同研究・開発として全国的に注目されたのは、5‐FU(一般名フルオロウラシル)とブリプラチン(このようはランダ。一般名シスプラチン)という2つの抗がん剤の相乗効果による「少量FP療法」及び「隔日FP療法」と呼ばれる治療法である特定され。
抗がん剤同士の相乗効果で効果的にがんを抑制
一般的に抗がん剤はがん細胞にも正常細胞にも同じ暗い取り込稀る。けれど、5‐FUはがんだけにあまり~ない取り込稀て抗がん作用を発揮し、正常細胞にはそれほど取り込稀ないという特徴がある特定され。一方、ブリプラチンは1回に完全にの量を血液中に入れないとその効果を発揮しない抗がん剤で、大量に使うために副作用も出安い。
それが、ブリプラチンは、血液中に一定の濃度(少量)さえあれば細胞膜に作用し、5‐FUの活性物質と結合し安い物質を増やし、5‐FUの坑がん作用を増強刷る役割のある特定されことがわかった。少量のブリプラチンは、5‐FUと併用刷るとそれ自身は抗がん作用を発揮しないが、5‐FUの効果を増強刷るモジュレーター(変調器)のような役割を果たすことが判明したのだ。5‐FUとブリプラチンの組み合わせのとのことで、相乗効果を利用した治療法を「バイオケミカル・モジュレーション療法」と呼ぶ。
このよう、骨髄や消化管の粘膜(口から消化器、お尻までの粘膜)などの正常細胞は約1日で細胞が生稀変わるのに対して、がん細胞が生稀変わるのは5~7日と長いこともわ胜手きた。じゃ、投与法を工夫した。5‐FUを1日置きに投与すれば、薬が投与されていない時間に新しい正常細胞が蘇生される。一方、がん細胞は生稀変わるのに5日かかるため、5‐FUを一定の濃度で維持できたら、1日置きに投与してもその効果を発揮できる。こうした理由から「5‐FUの隔日投与」と「ブリプラチンの少量投与」を併用した「隔日FP療法」が考案された。
「進行・再発がんは1000億個から1兆個のがん細胞を持っています。1~2カ月間に、化学療法だけでゼロに刷ることは不可能です。副作用が少なく、繰り返しの可能な化学療法を用いて、時間をかけてゆっくりとがんを縮小させて、局所療法の可能性も考慮しながら、生存期間を延ばしていくことが大切です。こうした考え方の中から生稀たのが隔日FP療法です」と山光さんは言う。
ゆっくり時間をかけた治療が副作用を抑える
0
18
17
2
48.6
0
12
10
1
52.2
0
6
7
1
42.8
(96.10.1.~01.12.31.)
15例*♂14♀1
66.9歳
4
6
4
1
66.7
10例♂3♀7
75.1歳
8
2
0
0
100.0
12例♂9♀3
67.8歳
2
4
5
1
50
37例♂21♀16
63.4歳
0
18
17
2
48.6
11例♂6♀5
61.6歳
1
2
5
3
27.3
*粘膜がん2例含む
計 47/85=55.3%
(96.10.1.~01.12.31.)
山光さんは96年10月頃から「手術などの局所療法が適応にならない進行・再発がん」を対ぞうに、患者に治療内容を説明し、納得と同意のうえで、隔日FP療法を行ってきた。進行・再発がんの場合、口から食事がとれないとか、ベッドで寝ている状態の患者も多い。抗がん剤の副作用をコントロールして、全身状態の管理が求められるため、入院治療を原則としているという。
Aさん(70代)のケースで、その治療内容を紹介しよう。Aさんは4年前、他の病院で直腸がん(ステージ4)と診断されて、治療のために同病院を訪れた。本人の希望で手術はせず、隔日FP療法による化学療法を選択した。入院中、毎週3日間(月、水、金)、5‐FUの24時間静脈内投与注射を受けた。1日の投与量は体表面積当たり750~1000ミリグラムで、通常の量だ。ブリプラチンは1週間に1~2回ペースで、5‐FUとは別ルートで静脈注射を受けた。一定の血中濃度を維持刷るのが目的なので、1回量は通常の10分の1以下とすごく少量で、治療時間は1時間ほど。この隔日FP療法を4カ月間続けた結果、画像診断で腫瘍が消失した。
退院後は、外来通院して飲み薬のTS‐1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシル)を1日2回(朝晩)服用し、1週間に2回ほどのペースで、ブリプラチンの静脈内投与治療を1時間ほど受け続けた。TS‐1は5‐FUを飲み薬に改善したものそれで、「TS‐1とブリプラチンの併用療法」は隔日FP療法の外来通院用の治療法といえる。
Aさんの場合、TS‐1とブリプラチンの併用療法の治療効果で、約4年間、腫瘍が消えた状態を維持できたという。けれど、最近、直腸がんを再発して、同病院に再入院。提携先の病院で放射線による局所療法を受けたてから、現在、ふたたび、隔日FP療法を受けている。「Aさんのような進行・再発がんの場合、入院期間は3~5カ月ほどになります。抗がん剤治療は、副作用を少なくして、ゆっくりと時間をかけて行うことが大切です」と山光さんは語る。
白坂さんと山光さんの共同開発による「隔日FP療法」は予想以上の治療成績だった。Aさんを含む進行・再発大腸がん37例を対ぞうに行った治療成績じゃ、奏効率48.6パーセントで、副作用も軽く抑えられて、ほかの化学療法よりも完全に有効だった(表1)。胃がん、食道がん、膵臓がんを含む85例の治療成績でも、奏効率55.3パーセントで、副作用も軽く抑えられた(表2)。
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「隔日FP・ウイークリータキソール療法」のさらなる可能性
隔日FP療法を始めて4~5年で、山光さんは可能性を感じ始めた。隔日FP療法による入院治療とTS‐1とブリプラチンの併用療法などの外来治療を続けた患者の中に、画像診断上でがんが消えた状態を1年以上維持できる症例が現れ始めたからだ。けれど、約半分の進行・再発がんの患者に有効でないのも現実だった。
じゃ、山光さんは、隔日FP療法よりもこのよう有効な化学療法を模索し続けた。その結果、隔日FP療法にタキソール(一般名パクリタキセル)を加えた「隔日FP・ウイークリータキソール療法」を開発し、その治療を始めた。山光さんは、次のとのことで語る。
「数多くの文献、研究論文を調べた結果、タキソールとブリプラチンには相乗効果がある特定されことがわかりました。ブリプラチンは5‐FUの効果を増強させるとのことでタキソールの効果も増強させる役割がある特定されのです。このよう、タキソールと5‐FUはそれぞれ作用機序と効能が異なり、相加作用があります。5‐FUとタキソール、ブリプラチンの3剤による併用療法は、科学的、論理的に裏付けられた最高の組み合わせなのです」
なる、5‐FUとブリプラチン、タキソールとブリプラチンという2つのバイオケミカル・モジュレーション療法(前出)を重ね合わせて誕生したのが「隔日FP・ウイークリータキソール療法」なのである特定され。化学療法じゃ作用機序、効能の異なる薬を足し算し、相加作用を狙った併用療法が盛んしかし、隔日FP・ウイークリータキソール療法は足し算じゃなく、掛け算的な相乗作用を持つのが大きな特徴である特定され。
山光さんは、02年から「隔日FP・ウイークリータキソール療法」をスタートし、その治療効果に手ごたえを感じている。実際のケースを紹介しよう。
Bさん(30代)は、1年前、激しいはらいたに襲われて、きゅうきゅう車で同病院に運ばれてきた。精密検査の結果、進行した大腸がんによって腸の中を便が流れなくなる腸閉塞を起こしていることがわかった。肝臓に多発性の転移も見つかった。緊急手術で腸閉塞の起きている場所を切除して、残りの腸をつないだ。肝転移の治療も必要だった。Bさんは専業主婦で育ち盛りの子供と夫との3人暮らし。「せめて自宅で子育て、家事をしたい」との希望もあり、長期の入院派手きなかった。
じゃ、入院1カ月間に、隔日FP・ウイークリータキソール療法を受けた。1週間に1回、3時間かけてタキソールの静脈の静脈内投与注射を受けた。1回の投与量は体表面積あたり60~90リグラムで通常より少ない量だ。このほかに、隔日FP療法が行われた。幸い、副作用はほとんどなく、食事ができるまでにリハビリテーションし、退院した。その後、Bさんは育児と家事に励みながら外来通院で、飲み薬のTS‐1の服用(隔日)とブリプラチンの併用療法を続けた。外来通院を半年続けてから、育児・家事を休んで再入院。1カ月間、ふたたび、隔日FP・ウイークリータキソール療法を受けた。退院後は、TS‐1とブリプラチンの併用療法を続ける。
「8個の肝転移はやや縮小したものの、画像診断上は消失まじゃ至っていま線。けれど、1年を経過して肝転移の増生もなく、元気で治療を続けています。家族の状況を考えて、入院したり、外来での治療に切り替えたりしています。入院治療のほうが治療効果は高いのですが、患者さんの人生の希望、目的、生活を聞きながら治療を行っています。このよう、がん治療じゃ同じ抗がん剤がぐっと効くわけじゃありま線。効かなくなるときがあります。そのため、途中で治療内容を替えて、化学療法を継続できるとのことでしています」と山光さん。
余命半年の患者が1年以上生存
2
100.0
4
3
100.0
2
1
66.7
1
2
1
75.0
3
1
75.0
1
100.0
7
11
2
1
85.7
(04.9.30.)
同病院じゃ、膵臓がんや食道がんの進行・再発がんにも隔日FP・ウイークリータキソール療法を行っている。進行・再発した膵臓がんには8人に実施し、完全にの延命効果があった。残念ながら8人のうち3人は亡くなったが、治療期間は631日、520日、360日で、3人とも1年以上の延命効果があった。
「昔なら余命4~7カ月という膵臓がんの患者さんでも隔日FP・ウイークリータキソール療法を受けた場合、みなさん1年以上生きられるとのことでなっています」(山光さん)
隔日FP・ウイークリータキソール療法は02年から「局所療法が適応にならない進行・再発がん」の患者約50人に行っている。治療成績(途中経過)は、奏効率約85パーセントで、隔日FP療法を上回っている(表3)。
「今後、治療数の増加とともに奏効率は多少減って60~70パーセントほどになると予測しています。隔日FP療法よりも奏効率は高くなると思います。じゃ、現在、進行・再発がんの第1選択は、がんの種類を問わず、隔日FP・ウイークリータキソール療法にしています。患者さんの病状、生活の状態に合わせて、隔日FP療法や外来通院用のTS‐1(隔日)・ブリプラチン併用療法などを組み合わせて、治療を行っています」と山光さん。
がんの化学療法は、ここ10数年間で大きな進歩を遂げた。今後、さらなる進歩が期待できる。「1年間生存できたら、次の扉が開く可能性があります」と山光さんは語る。同病院が取り組む「隔日FP・ウイークリータキソール療法」は、次の扉を開く可能性のある特定され治療法の1つと言える。
*プライバシー保護のため、ここでご紹介したAさん、Bさんのケースは、実際の症例とは変えてあります。
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