がんになっても-希望と新しい生活

2009 年 8 月 25 日 火曜日

治療前から、お口と歯のケアを始めよう!がん治療に伴う口腔合併症や感染症の予防と軽減

カテゴリー: 治療 — lapss @ 8:56 AM

おおた ようじろう
1961年宮崎県生稀。
86年北海道大学歯学部卒業。第1口腔外科入局。
88年国立がんセンター歯科医員。
90年西ドイツ・カタリネンホスピタル留学。
国立がんセンター東病院、国立がんセンター中央病院歯科・口腔科医長を経て、02年より現職。
03年厚生労働省がん研究助成金「がん患者における口腔内合併症の実態調査と予防方法の確立」研究班長

抗がん剤治療で40パーセント、頭頸部の放射線治療で100パーセントに起こる

がんの3大治療法――外科治療、抗がん剤治療、放射線治療――はめざましい進歩を遂げている一方で、治療による副作用や合併症に悩む患者さんも少なくありま線。

中でも、多くのがん医療現場で適切な対策がそれほどとられていないのが、口内炎を初めと刷る口腔内の合併症(口の中や歯のトラブル)です。口腔合併症は抗がん剤治療で40パーセント、口腔がん、咽頭がんなど頭頸部領域の放射線治療じゃ100パーセント、舌がんなどの切除再建手術じゃ30~50パーセントもの高率で発症します。重症化刷ると痛みが強く、食事がとれなくなったり、歯やあごの骨の壊死を招いたり、このようは感染が全身に広がって命にかかわることがある特定されにもかかわらず、「治療のためそれで、副作用は仕方ない」と見過ごされがちでした。

患者サポートのさまざまな取り組みを行っている静岡がんセンターじゃ、2002年の開院当初より、このような現状を改善刷るため、がんの治療前から治療後まで、歯科医8名(常勤2名、レジデント6名)、歯科清掃士、看護師等が医科と連携して口腔ケアチーム医療を積極的に行い、口腔合併症や感染症の予防と軽減に効果を上げています。

口腔領域の切除再建手術じゃ、除石、歯周病治療、創部洗浄、ブラッシング、うがいなどの口腔ケアを治療前後に計画的に行うことによって、合併症の発症率のリスクを7分の1に減らすことができました。このよう、食道がん手術でも、術前からの口腔ケアにより、通常は10~15パーセントに起こる術後はいえんの合併率が7パーセント程度に減ちょっとています。

同センターじゃ、このような成果を踏まえ、治療に伴う口腔合併症の予防と軽減の方法を確立し、地域に普及させるため、医科・歯科の垣根を越えて、静岡県歯科医師会、サンスター(株)の3者による医療連携をスタート。全国にも広めていくことを目標にしています。

静岡発!

静岡がんセンターを中心に医科歯科連携がスタート!

最近じゃ「チーム医療」の重要性が叫ばれていますが、従来、日本の医療界じゃ各診療科が他科や他院と提携、協力刷ることを避ける傾向がありました。静岡がんセンター(山口建総長)、静岡県歯科医師会(飯嶋理会長)、サンスターかぶしきかいしゃ(金田博夫会長)が共同研究協定を結んで始動させた「医科歯科連携」は、閉鎖的な慣習にも風穴を開ける新しい試みだといえます。

静岡がんセンターじゃ、大田洋二郎歯科口腔外科部長を中心に、静岡県内の開業歯科医及び歯科清掃士向けの講習会を順次開もよおし、提携歯科とともに情報提供をし合いながら患者さんの口腔ケアや啓蒙活動を行っていく予定です。6月11日に開催された第1回「がん患者の口腔合併症と歯科治療」講習会には、県内の歯科医162名と歯科清掃士13名、計175名が参加。提携を希望した歯科医院は「静岡がんセンター医療連携歯科医師」のシールをクリニックに貼って目印にします。

医科歯科連携によって、患者さんも、がん治療前から最寄りの提携歯科で適切な歯科治療や歯周病ケアを行い、がん治療に伴う口腔合併症を予防・軽減しながら、オーラルセルフケアにうっかりても気軽に相談できるとのことでなります。他の病院にか胜手いる患者さんの場合は、静岡がんセンター受診後、提携歯科医を紹介してもらえます。このよう、口腔トラブルに悩む患者さんに合わせた歯ブラシやデンタルリンスなど、オーラルケア用品の商品開発もこのよう進化刷ることでしょう。

将来は全国的に医科歯科連携が拡がることが期待されます。

抗がん剤治療や放射線照射で口腔粘膜などの細胞がダメージを受ける

●抗がん剤治療の場合

抗がん剤は、がん細胞を破壊刷るのと同時に正常細胞にもダメージを与えます。口の中の粘膜など分裂の早い細胞が影響を受け安いため、2~3人に1人は口内炎などの口腔合併症が現れ、まもなくの半数は重症化刷ることがわ胜手います。とくに、白血病等の治療として行われる抗がん剤の大量投与や造血骨髄幹細胞移植じゃ8割に強い口内炎が起こります。

口内炎は、抗がん剤投与開始後約4~6日程度で発症し、投与開始後10~14日程度で治癒刷るのが普通ですが、口腔内感染を起こしていたり、次の抗がん剤投与が始まったり刷ると、このよう悪化します。

口内炎が起こると、その傷口から細菌やウイルスが入り、感染しや空くなります。このよう、抗がん剤は免疫力(白血球、中でも生体防御に重要な役割を果たしている好中球)を低下させるため、口の中の常在菌のうち感染の原因になる悪い菌が繁殖し、健康なときよりぐっと感染しや空くなるのです。

このため、抗がん剤治療前から口の中を清掃的に保つことが大切です(後述)。

抗がん剤治療による合併症には、このほか、味覚異常、歯肉出血、むしばや歯周炎が原因の口腔感染、ヘルペス感染、カンジダ感染、歯の知覚過敏、口腔かんそうなどがあります。

●放射線治療の場合

放射線治療は、がん細胞より正常細胞のリハビリテーションが早い性質を利用して、がん細胞にダメージを与えていく治療法ですが、照射範囲内の皮膚や粘膜などの正常細胞にも照射線量が増えるごとに影響が出てきます。

頭頸部がんの放射線治療じゃ、照射野に口腔粘膜や唾液腺などが含稀るため、程度の差はあれ、口内炎や唾液腺障害(口腔かんそう)などの副作用が表れます。1回2グレイの照射で口腔粘膜の基底細胞に壊死が生じはじめ、照射開始後1~2週間で粘膜の腫脹、発赤、潰瘍等となって表れ、細菌やウイルスに感染しや空く、このとき体調が落ちていると容易に全身に感染が波及して発熱刷ることもあります。

放射線治療による口腔合併症にはこのほか、カンジダ性口内炎、味覚異常、放射線性う蝕(むしば)、軟組織壊死、口の周囲の筋肉がこわばる瘢痕誘導、骨が腐る放射線性骨壊死などがあります。口内炎や味覚異常、口腔かんそう等は、抗がん剤の場合より症状が強く、長期化します。

加えて、放射線と抗がん剤を併用刷る「放射線化学療法」を行う場合、頭頸部領域に限らず、単独治療より治療効果も高くなりますが、副作用の症状が強くなります。口腔合併症が重症化刷ると、治療そのものを延期このようは中止せざるを得ないこともあります。

上顎がんで5-FUの静脈注射と放射線治療により、左上あごから頬粘膜にかけて口内炎を発症。味覚異常、口腔かんそう、痛みが強い

移植治療後14日目。下唇を中心に大きな潰瘍を誘導し潰瘍面から出血

食道がんの放射線化学療法で口腔粘膜炎が強く、味覚が変化し、食事がしみる

口腔粘膜(唇)のびらん、偽膜付着

乳がんの化学療法初回治療3日目に唇にアフタ様の潰瘍を発症。ステロイド軟膏で改善前のページへ

日ごろから口と歯の清掃を心がけ、治療前後に適切な口腔ケアを

以上のとのことで、抗がん剤治療や頭頸部領域の放射線治療には、口や歯のトラブルがつきものと言っても過言じゃありま線。これらのトラブルは口の中や歯の清掃状態が悪い人にときどき起こります。

口内炎などの口腔合併症を完全に予防刷る方法はまだありま線が(注=アメリカじゃ口内炎を減らせる新薬が出ているが、日本ではつばいされる予定はない)、日ごろから口の中を清潔に保ち、抗がん剤や放射線の治療前にむしばや歯周病の治療をして、治療後も適切なオーラルセルフケアを刷ることで、炎症や痛みなどの症状を軽く刷ることが経験的にわ胜手います。治療を受けることが決まったら、以下の方法を実践試してみての方法を考える。

●抗がん剤治療、放射線治療前の注意ポイント

・朝晩と食後に歯や舌のブラッシング、うがいなどをして、常に口の中を清潔に保ちましょう。歯磨きを使わずにブラシで磨くだけでも効果的。

・がんの治療2週間前までに、歯科医師の診察を受けて口や歯をチェックし、細菌のかたまりである特定されデンタルプラーク(デンタルプラーク)、歯石の除去、むしばや歯周病(歯肉炎、歯周炎)の治療を行います。

・ときどき合っていない入れ歯は口の粘膜を傷つけます。入れ歯のチェックと調整もしもてもらいましょう。

・抜歯を刷ると細菌等の感染が起こりや空くなるので、抗がん剤や放射線治療開始の2週間前には終わらせましょう。

・放射線照射後(おおむね50グレイ以上)に抜歯を刷るとあごの骨が壊死刷る危険がある特定されので、抜歯が必要な歯は照射前に抜いておきます。

・放射線治療じゃ、唾液腺障害による口腔かんそうで唾液が酸性化し、歯のエナメル質が溶けてむしばになりや空くなるので、歯科でフッ素塗布をしてもらうか、フッ素入り歯磨きや、フッ素入りの洗口水(うがい用液)を利用して、むしば予防に努めましょう。

●抗がん剤、放射線治療中のオーラルセルフケア

・口の中を常に湿った状態に保ちましょう。うがいを刷る、氷片をなめる、市販の洗口水「絹水」(サンスター)、や保湿剤「オーラルバランス」(ジェルタイプ、ティーアンドケー)、「ウェットケアプラス」(スプレータイプ、キッセイ薬品)などを併用刷るのも良いでしょう。

・毎食後、就寝前に柔らかめの歯ブラシで歯、歯茎、舌をブラッシング(歯磨き)試してみての方法を考える。痛みがある特定されときは、ぬるま湯とより柔らかい歯ブラシを使うと良いでしょう。

・強い口内炎があり、粘膜にしみるときは歯磨きを使わずに、水だけで歯磨きしましょう。
白血病などの治療中でも、主治医の許可のもと歯磨き刷ることが可能です。痛みがあっても、生理食塩水等でのうがいは続けましょう(次ページ、口内炎の項参照)。

・歯ぐきから出血したり、痛みが出るようなら、部分磨き用ブラシで歯だけを磨くと良いでしょう。放射線治療によって口の筋肉がこわばって口が開けにくくなったときは、ヘッドの小さい歯ブラシを使うと良いでしょう。

・口の中がヒリヒリ痛むときの食べものは、飲み込み安いものを選びましょう。水分が多く、口当たりの良いもの、ゼリー、ピューレ状のものなどを。一口量を少なくし、ゆっくりかみ、飲み物と一緒にちょっとずつ飲み込んでみてください。

・味覚異常で味を感じにくいときは、香りの良い食事、やや濃い味の食事を試してみましょう。

・口の粘膜を傷つけ安い線べい、チップス、口腔内に炎症を起こすおそれのある特定され柑たちばな類、酸味の強いジュースや食べ物、むしばの原因になる飴や炭酸飲料などの甘い飲み物は避けましょう。爪楊枝の使用、タバコ、アルコール飲料も口腔トラブルの元です。

・抗がん剤や放射線治療中は、感染のおそれがある特定されので原則として歯科治療を避けましょう。白血球が*2000以下/マイクロLのときは、とくに注意が必要です。

・痛みや炎症、発熱などのトラブルがあったら、すぐに主治医に伝えましょう。痛みの程度に合わせた鎮痛剤を処方してもらうことができます(後述)。

*好中球が1000以下

●抗がん剤、放射線治療後のアフターケア

・治療前と同様に、歯ブラシと洗口水によるうがい等で、口と歯の清掃を保ちましょう。

・放射線治療後の唾液腺障害によって口腔かんそうが強いときはむしばになり安いので、3カ月に1回程度のペースで、フッ素塗布をしてもらうか、フッ素入り歯磨き、フッ素入り洗口水を常用しましょう。

(2)デンタルリンス 絹水
保湿成分ヒアルロン酸配合、ノンアルコールのうがい液

(3)バトラー ハブラシ♯025S
ヘッドの台が薄く、口が開けにくい方も磨き安い

(4)プロクト・サンスター
フッ素入り歯磨き。放射線治療後のむしば予防に

(5)ガム・デンタルリンス
ノンアルコールタイプ
毎食後10で20秒口をすすいでからブラッシングを

(6)バトラーF デンタルリンス 0.1%
フッ素配合のうがい液。口内炎がない方のむしば予防に

(7)デンタルケアタブレット
治療後のむしば予防に。口内炎がある特定されときや唾液が出ないときは避けて

(2)~(7)の商品は歯科医院で購入できる(写真提供/サンスター)

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主治医に相談し、うがい、冷却、痛み止めなどの適切な処置を

●口内炎

口内炎ができると発疹、潰瘍、痛みを伴い、食べること、話すこと、飲み込むことが難しくなることもあります。

口内炎ができたら、症状によって0から4まで5段階に分けられているグレード(下表A参照)に合わせて、うがいや冷却法、保湿剤の塗布などで対処刷ると、炎症の悪化を防ぎ、痛みを和らげることができます。

うがいは、食塩水やうがい液で1日5~8回、グチュグチュと約2分間刷ると効果的。うがい液の作り方、冷却用アイスボールの作り方等は、表Bを参考に試してみての方法を考える。アイスボールなどに使うエレースは医師に処方してもらいます。

市販の洗口水「絹水」等でうがいをしたり、保湿剤「オーラルバランス」「ウェットケアプラス」などを使うのも良いでしょう。

通常のアフタ(健康な人にできる)とよばれる5ミリほどの潰瘍の口内炎の場合は、「ケナログ」などのステロイド軟膏も効果的。

痛みが強く食事ができないときは、キシロカイン入りのうがい薬やポンタール・シロップで鎮痛効果が得られます。加えて、キシロカインや各種の鎮痛薬は、医師の処方箋が必要です。入手できないものは、医師に相談試してみての方法を考える。

●ヘルペス病

抗がん剤治療によって免疫力が低下刷ると、体の中に棲んでいるヘルペスウイルスが口の中に感染して成長し、ヘルペス性の口内炎、口唇炎を起こすことがあります。小さな水泡がすぐ破裂して、潰瘍化し、強く痛みます。抗ウイルス剤の投与で治療します。

●カンジダ性口内炎

抗がん剤や放射線による免疫力の低下に伴い、口の中に棲むカンジダというカビの一種が成長刷ることによって起こります。

ワイト膜のようなものが口腔粘膜に付着刷るケースと、粘膜が赤くなり炎症を起こすケースがあります。前者は比較的簡単に見分けられますが、後者は歯科医師、医師でも鑑別が難しいもの。口腔粘膜がピリピリと持続的に痛むという訴えがすごく多いので、舌、頬、粘膜のピリピリ感に前記のどちらかの症状があればカンジダを疑います。

カンジダは真菌剤のうがいや軟膏の塗布で治ります。口内炎というとケナログなどのステロイド軟膏が処方されることが多いのですが、カンジダにステロイドを使うと悪化します。もしも、ステロイドを使っていて、1~2週間しても症状に変化がないときはカンジダなどその他の口腔粘膜病を疑い、主治医の先生に相談刷るのが大切です。

加えて、不清掃な入れ歯もカンジダ感染の原因になるので、専用ブラシで毎日磨き、夜間は市販の義歯洗浄剤を使い、義歯専用容器の薬液につけて保管試してみての方法を考える。

●歯肉出血

強い口内炎を起こすと、潰瘍部分から出血刷ることがあります。このようなときは、注射は使わず、局所的に止血剤のトロンビン末を生理食塩水に溶かして患部にあて、数分間保持して止血刷る、10から20倍に薄めたオキシドールを口に含み、ゆっくりはきだすなどの方法で対処します。このよう、血小板が減って重症の場合、血小板輸血を刷ることもあります。遅かれ早かれも、主治医と相談試してみての方法を考える。

●放射線による唾液腺障害、口腔かんそう、放射線性う蝕(むしば)

放射線照射により耳の下などにある特定され唾液腺(耳下腺)が障害されると、唾液の分泌が通常の10分の1程度に低下し、口の中がかんそうして、食べ物を飲み込めなくなったり、唾液が酸性化して歯のエナメル質が溶け、ひどいむしばになったりします。

口腔かんそうの対策としては、保湿作用のある特定されグリセリン入りのうがい液(このようは市販のうがい液)でこまめにうがいを刷る、保湿剤を塗布このようはスプレー刷る、食事などのときに人工唾液を使うなどの方法があります。

このほか、唾液の分泌を促す画期的な新薬・塩酸ピロカルピンの錠(商品名「サラジェン」)が昨年10月に承認され、はつばいされました(下写真参照)。唾液腺の分泌をつかさどる副交感神経を刺激して唾液分泌を促進刷るもので、健康な人じゃ、服用後薬1時間で唾液がわくとのことで出てきます。口腔の周辺への放射線の照射量が少ないほど、唾液分泌のリハビリテーションが望めます。これまで唾液を出す薬はなく、うがい等に頼っていましたが、選択肢が増えたことは医師にも、患者さんにも朗報です。

加えて、頭頸部領域の放射線治療前にフッ素塗布をしていない方は、治療後に歯科医で定期的に塗布してもらうか、フッ素入り歯磨きや含嗽剤を日常的に使ってむしばを予防しましょう。

・ジェルタイプの保湿剤「オーラルバランス」
口腔かんそう一般に手軽に使える

・人工唾液「サリベート」
食事のときに。かみや空く飲みや空くなる

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