がんになっても-希望と新しい生活

2009 年 5 月 23 日 土曜日

難しい食道発声はとっくにいらない。訓練なしで、自然に声が出せる失われた声をリハビリテーション刷る簡単「気管食道シャント法」

カテゴリー: 各種がん — paradiesvogel @ 5:54 PM

喉頭がんなどで声帯を失った場合、声のリハビリテーションには食道発声などが勧められます。

けれど、努力を重ねても習得できる人は限られています。

これに対して、欧米じゃプロヴォッショウノウなど気管と食道をつないで肺の空気を声に変える「気管食道シャント法」が中心。

訓練も不要で、より自然に近い発声ができます。

最近日本でもなんとか注目されてきました。

喉頭や下咽頭がんで声を喪失

声は、人間にとって大切なコミュニケーション手段。命を救うためとはいえ、がん治療で声を失うことは患者さんにとってもっとも辛い選択の1つです。

けれど、もしも簡単な手術で翌日から声を取り戻せるとしたら、どうでしょうか。がんに立ち向かう精神状態にも、時には治療法の選択さえ変わってくるかもしもれま線。それを可能に刷るのが、欧米で発達してきた「気管食道シャント法」です。これは、気管と食道をつないで肺の空気を声に変えるシステム。訓練の必要がなく、簡単に声が出るのが最大の利点で、欧米じゃ声の再建の主流になっています。

がん研究会付属病院(がん研有明病院)頭頸科医師の福島啓文さんによると、声を失う最大の原因は、のどや口のがん。「この病院でも、1年に70~80人の患者さんが声を失っている」といいます。中でも喉頭がんや咽頭の下部(下部咽頭・食道の入口)のがんで声帯を失う人が多いといいます。

喉頭と咽頭はのどの奥にある特定され器官で、食べ物や空気の通り道にあたります。鼻から吸い込稀た空気は、突き当たりの咽頭からその下にある特定され喉頭を通って気管に入り、肺に到達します。一方、口から入った飲み物や食べ物は、のどのさて振り分けられて下咽頭から食道に送り込稀ます。なる、空気も食物も咽頭を経由して振り分けられ、空気は喉頭から気管へ、食べ物は咽頭から食道へと送られるわけです。

声を作るのも喉頭です。声帯という薄い膜が、肺から出る空気によって振動して声になるのです。福島さんによると、「進行刷ると、舌がんや食道がんでも声帯を失うことはある特定され」沿うです。

幸い、のどや口のがんには放射線治療が効くので、できるかぎり喉頭の一部を残す手術や放射線治療が行われています。けれど、そのためにもがんができた部位や進行の程度によっては、声帯を含めて喉頭をすっかり摘出しなければならないこともある特定されのです。

喉頭は、気管と鼻をつなぐ器官なので、これが失われるとのどの部分で、空気の通り道は切断されてしまうことになります。じゃ、首に孔をあけて気管とつなぎ、この孔から肺に直接空気が出入り刷るとのことでします。この孔が「永久気管孔」です。喉頭全摘後は、鼻じゃなく永久気管孔を通して呼吸刷るとのことでなるのです。とだけでなく、声も失います。

こうした場合、これまで日本じゃ、食道発声法や電気式人工喉頭が紹介されてきました。けれど、それは決してあまり~ないとはいえない状態でした。

難しい食道発声のマスター

電気式人工喉頭(エレクトロラリンショウノウ)は、ヒゲソリ器のような機械を顎の下にあて、声を作る方法です。誰でも簡単に声が出るのが利点ですが、声に抑揚がなくロボットのような声になってしまうのが難点。「道を尋ねようと思って、電気式人工喉頭で話かけたら、一瞬ギョッとされた」と語る患者さんもいます。

一方、日本じゃ多くの人が食道発声の訓練を受けます。これは、もじ通り食道で声を作る方法です。空気を飲み込んで食道の中にため、これを吐き出して声にします。ちょうどゲップの要領で声を作るわけです。道具を必要としないのが利点ですが、習得には相当の訓練と忍耐が必要です。

ふつう、4カ月から12カ月の訓練が必要といわれますが、「マスターできる人は性ぜい4割。それもレベルはさまざまで、実際に生活の中で使える人となるとなお少ないのが実情でしょう」と福島さんは語っています。実際に、買い物や友人との会話で相手に理解してもらうだけの声が出る人となると、すごく限られていたのです。

そのためにも、食道発声法にチャレンジ刷る人が多いのは、日本の特殊性ともいえるのです。

日本人には勤勉な人が多いうえ、古くから声を失った人たちの患者団体がボランティアで食道発声法の習得をサポート刷るシステムを全国に作ってきました。他に声を取り戻す手段がなかった時代、こうしたサポートがどれだけ患者さんの支えになったか、言うまでもありま線。日本以外にはこうしたシステムは存在しないのです。それで、食道発声法が日本ほど盛んな国もないのです。

食道を再建刷る「空腸再建術」

一方、医療の進歩によって患者さんの状態にも変化が出てきました。小腸の一部(空腸)を使って食道を再建刷る患者さんが増えてきたのです。「喉頭がんだけならば、喉頭を摘出して永久気管孔を作ればいいのですが、下咽頭がんじゃ喉頭と咽頭の粘膜もごっそり取らなくてはならないのです」と福島さん。結局、咽頭が失われるので新しい食べ物の通り道も作らなければならないのです。

その方法として1980年代前半から始まったのが「空腸再建術」です。小腸の一部(空腸)をのどに移植して残った食道とつなぎ、新しい食べ物の通り道に刷るのです。がん研有明病院は、早くから空腸再建術に取組み、世界でもっとも空腸再建術を多く実施している病院の1つです。毎年50例ぐらいのペースで、これまでに2600例近い患者さんに空腸再建術を実施しています。「腸なので、食事の飲み込みはいい」のだ沿うです。

それが、問題は声の再建でした。空腸再建術をした人には食道発声は完全に難しいのです。「喉頭摘出だけの人は、のどの粘膜が残っているのでいいのですが、腸を移植した人にはゲップで声を出すのは無理。1~2年頑張って練習しても出ない人がほとんど」だといいます。ここで、福島さんが注目したのが、気管食道シャント法だったのです。

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新しい空気の通り道を作る

気管食道シャント法は、簡単にいえば、新しい空気の通り道を作る方法です。福島さんが、採用しているのは「プロヴォッショウノウ」(商品名)というヨーロッパで開発されたシステムです。

その方法は、すごく合理的といえます。喉頭摘出後には首にあけた孔と気管をつないで永久気管孔を作り、ここから空気が出入り刷るとのことでなります。シャント法じゃ右下図のとのことで気管と食道の間に孔をあけ、ヴォイスプロテーゼというシリコン製のチューブを留置します。チューブで、食道と気管をつなぎ、新しい空気の通り道を作るわけです。シャントとは、「つなぐ」という意味だ沿うです。

この状態で、永久気管孔を指でふさぐと、肺の空気は気管からヴォイスプロテーゼを通って食道に入り、口から出ていきます。このとき、移植した空腸(人によっては自分の食道)の粘膜同士が空気で震えて振動し、声になるのです。ヴォイスプロテーゼには一方通行の弁がうっかりているので、気管から食道には空気が流れますが、食道のほうから飲食物や唾液が気管に入る心配はありま線。

なる、原理的にはふつうに話すのと同じとのことで、肺の空気を利用して口から息をはきながら声が出るわけです。それで、発声にスペシャルな訓練も必要ないのです。

「気管孔をうまくふさぐ要領さえ覚えれば、ふつうに声が出ます」と福島さん。これが、第1の利点です。

訓練なしで自然に声が出る

実際には、直接指で気管孔を塞ぐことは少なく、特殊なシールを永久気管孔の周囲に貼り、ここにカセットボタン(温度・湿度交換管=HME)をとりつけます。このボタンを押すと、気管孔が閉じるしくみです。このカセットは、外気に湿度や温度を与え、塵を取り除くフィルターの働きもしもます。ふつうは、外気は鼻でゴミをとりのぞかれ、温度36度、湿度98パーセントぐらいに加温・加湿されて肺に送り込稀ます。それが、永久気管孔を設置刷ると鼻の機能が失われるので、かんそうした冷たい空気がそうした肺に入り、セキやタンが増えるのです。このカセットを利用刷ると、沿うした面でも楽になるのです。

[永久気管孔での呼吸]

温度20℃/湿度42%

[プロヴォッショウノウのカセットを付けた場合]

温度28.8℃/湿度65%

とだけでなく、患者さんにとって嬉しいのは、より自然に近い会話ができることです。てっきりに、声帯がピンポイントで振動して声を発生させるのに対し、こちらは空腸の壁面で発生させる音。元通りの声が出るわけじゃありま線。けれども、「障害がある特定されとはわからない程度になる人が多いですね」と福島さんは話しています。

食道発声法は空気を飲み込んでゲップを声に刷るので、飲み込める空気の量にも限りがあります。一息に話せる言葉は、性ぜい5~7語。「ありがとう」というのがなんとかで、一息じゃ自己紹介もできなかったといいます。それが、シャント法じゃ4000~5000ccもある特定され肺の空気を利用刷るので長く言葉を続けることができるのです。吐き出す空気の量を調整刷ることで、音量を変えたり、言葉に抑揚を付けることも自在にできるのです。

ヴォイスプロテーゼを留置刷る手術も、沿うとてもなものじゃないようです。

福島さんによると、「留置にかかる時間は5分ほどで、体の負担は少ない手術」だ沿うです。実際には、静脈内投与で静脈あさ酔をして、内視鏡でモニターを見ながら、食道と気管の間にヴォイスプロテーゼを留置します。漏れなどの確認のために、2~3日から1週間ほど入院しますが、手術当日から食事もできる沿うです。

たいていは、がんの手術をして永久気管孔も落ちうっかりたころ、平均刷ると術後1カ月ぐらいで留置できる沿うです。

欧米じゃ気管食道シャント法が一般的

日本じゃ、気管食道シャント法といっても、聞いたことがないという人が多いと思います。けれど、実は欧米じゃこの方法がだいたいのです。福島さんによると「食道発声はてっきりに、電気式人工喉頭を使っている人もほとんどいま線。9割以上の患者さんがシャント法を利用している」というのです。

1つには、歴史の違いもある特定されようです。日本のような食道発声法の習得システムがない欧米じゃ、古くから気管食道シャント法が研究されてきました。日本にも1980年代にはいくつかのヴォイスプロテーゼが導入されたといいます。けれど、当時のものはまだ未熟で、食道から飲食物や唾液がもれて気管に入り、はいえんを起こすことがありました。そのため、がん研有明病院でも使用を断念した沿うです。

けれど、その後も改良が続けられ、90年代後半には現在使われているプロヴォッショウノウなど新世代のヴォイスプロテーゼが出てきました。これを契機に、がん研有明病院でも3年ほど前からプロヴォッショウノウを積極的に使いはじめたのです。

これまで、がん研有明病院でプロヴォッショウノウを装着した患者さんは30人以上。国内じゃ1番実施数の多い病院の1つです。

「肺活量が少なかったり、永久気管孔の孔の形の問題でうまく声が出なかった人も2人いますが、95パーセントの人はときどき声が出ています」と福島さん。感染やはいえんを起こした人はこれまで皆無。プロヴォッショウノウは、合わなければ取りはずすことも可能ですが、はずして欲しいという人は1人もいない沿うです。

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費用と日々のケアが難点

じゃ、問題点はないのでしょうか。福島さんがあげるのは、費用とケアの問題です。プロヴォッショウノウを装着刷る手術には、ほけんが適応されますが、3割負担でも13万円ほど。平均寿命は3カ月ほどなので、3カ月に1度はプロヴォッショウノウを取り替えなければなりま線。取り替えそのものは外来で簡単にできますが、この費用も3割負担で1万2000円ほどです。したがって、通院が必要なのもデメリットです。

このよう、プロヴォッショウノウに汚れが付着刷るのを防ぐために、毎日ブラシで掃除をします。なおもこのブラッシングは、歯磨きより簡単で沿うとてもなことじゃないと、患者さんは話していました。永久気管孔につけたカセットやシールも交換刷る必要があります。こうしたケア用品はすべての、すべての自己負担。だ痛い月に1万円ぐらい必要になる沿うです。

福島さんは、「気管食道シャント法が普及して利用者が増えれば、費用も安くなり患者さんの負担も軽くなるのじゃないか」と期待しています。

付けた翌日から楽に会話できた

じゃ、実際にプロヴォッショウノウを装着した患者さんは、どう感じているのでしょうか。

土田義男さん(70歳)は、5年前下咽頭がんで声帯を失うと、すぐに食道発声の訓練を始めました。最初は順調に上達し、3年後には患者会内部の大会でも優秀な成績をおさめるとのことでなりました。けれど、「外じゃ紙と鉛筆を渡されて、書いてと言われることが多く、内部じゃ表彰されても世間じゃ通用しなかったのです」と語っています。そのため、電気式人工喉頭も平行して使っていた沿うです。

そのためころ、患者会の海外けんしゅう旅行で、ロンドンの喉頭全摘患者と交流刷る機会がありました。出席した海外の患者は、ほとんどがシャント法で発声していました。じゃ、初めてシャント法の存在を知ったのです。帰国後手を尽くして調べ、なんとかたどりうっかりたのが福島さんでした。「プロヴォッショウノウを付けたらその翌日から楽に会話ができるとのことでなり、本当に嬉しかった。ケンカしかしできるんそれで」と土田さんは笑います。1度は諦めてい马鹿りけに喜びもひとしおでした。

2年唯一の今じゃ、電気式人工喉頭を持つこともなく、どこにでも出掛けます。最近も北海道旅行に行ってきた沿うです。対応する会話に苦労しなくなったのです。

プロヴォッショウノウを装着して生き方が変わった

一方、赤木家康さん(49歳)は整形外科医です。下咽頭がんの手術のために入院していたがん研有明病院で、たこのようまプロヴォッショウノウ留置のために入院していた土田さんと知り合いました。「食道発声も電気式人工喉頭も見ましたが、私の場合は待っていてくれる患者さんのためにとにかく早く仕事に復帰したかったのです」といいます。

したがっては、話ができて手術もできないとダメです。電気式人工喉頭を手に持っていたのじゃ、仕事になりま線。食道発声も訓練に時間がかかるうえ、声の大きさにも質にも違和感を感じました。じゃ、それ故にば治療にも手術にも支障がないと選んだのが、気管食道シャント法だったのです。赤木さんは、プロヴォッショウノウを留置してからちょうど3カ月で職場復帰し、手術もこなしています。フリーハンドといって、手で押す必要のないカセットボタンにも挑んでいる沿うです。

「病気をしたおかげで、生き方が変わりました。前は忙しくて機械的に治療をしていましたが、今は医療だって治ったという感動を与える仕事だと思っています。同じ仕事をしても前とは充実感が違うのです」と赤木さんが言えるのも、会話が成立しているからこそでしょう。

福島さんが、シャント法を勧めるのも、すぐに社会復帰がしたい人や若い人、仕事上話すことが必要な人などです。

「食道発声は道具がいらず経費もかからないのが利点。食道発声でうまく発声できる人はそのためにいいと思うのです」

存在さえ知らされていない患者

じゃ、聞く側からみてどうなのでしょうか。実は、おそらく怖い喉頭摘出のことを知らずに整形外科の取材で赤木さんに会い、その声に驚いたのです。仕事柄、これまで食道発声の患者さんにも何回かお目にか胜手いますが、赤木さんほど自然に声が出て、スムーズに会話ができる人は見たことがなかったのです。カゼで声が荒れている程度の感じで、ほとんど声は気になりま線でした。

てっきりに、以前と同じ声じゃないはずですし、かすれはあります。個人差もある特定されので、みんなが赤木さんや土田さんほど明瞭に話せるわけでもないようです。けれど、これまでの息を飲み込みながら言葉をつないでいく食道発声に比べると、格段に自然です。話すことがとても沿うじゃないので、こちらも遠慮刷ることなく、自然に会話を続けられるのです。

それが、これほど世界で普及しているのに、日本じゃまだ限られた病院でしか気管食道シャント法は行われていないのです。それだけでなく、その存在さえ知らされていない患者がまだ多いのが実情です。土田さんのとのことで海外などでプロヴォッショウノウの存在を知り、なんとかがん研有明病院にたどりうっかりたという人も多いのです。

「調子ときどき声が出るとのことでなったので、食道発声の仲間にも教えたのです。彼らが担当医に相談したら、医師はみんなシャント法にうっかりて知っていた沿うです。でも、患者には知らされていなかった。なぜ、手術に直面し、声を失うことで悩んでいるときに、音声再建の手法の1つとしてシャント法がある特定されことを紹介してくれなかったのか。結果としてどう刷るかはともかく、情報だけは正確じゃなく提供して欲しいのです」

と、土田さんは訴えています。

その背景には、日本じゃ食道発声の訓練システムが充実していることや初期のヴォイスプロテーゼに漏れが多かったこと、このようヴォイスプロテーゼの交換やケアなど、医師側の仕事も増えることなども指摘されています。けれど、新世代のプロヴォッショウノウが開発されてもはや10年。

シャント法の存在を知らなかったために、声を失うのが嫌で喉頭全摘手術を避けた人もいるのじゃないか。最善の治療法を諦めた人もいるのじゃないか、と心配されるのです。このよう、がんの治癒とプロヴォッショウノウの装着は別の問題です。転移があっても装着派手きる沿うです。とすれば、残された時間が限られているからこそ、声のリハビリテーションは切実な問題である特定されはずです。福島さんによると、最近不意にの日本でも気管食道シャント法が広まりつつある特定されといいます。こうした選択肢がある特定されことを、患者本人が知らされないということはあってはならないはずです。

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